苫米地英人が語る政策、 反TPPと反消費税増税

『苫米地英人が語る政策、反TPPと反消費税増税』からの抜粋です。

最近の総務省の統計では、日本のGDPは511兆円です。日本という国は、以前は輸出入で稼ぐ国でした。そして未だに、その見方が残っています。ところが日本は、すでに『内需国』になっています。GDPのうち輸出は50兆円に届いていないし、輸入は40兆円です。ですから輸出入は、それぞれGDPの10%以下なのです。日本のGDPの80%以上は、『内需』つまり国内での物やマネーの動きです。

TPPに参加すると、この内需の一部を、外国からの輸入に切り替えることになります。北海道庁の調査では、『TPPに参加して関税が撤廃された場合、農業だけで2.1兆円が失われる』との報告がされています。2.1兆円とは、とてつもない数字です。さらに、『その他の産業でも1兆円が失われる』と報告されています。現在の日本では、家庭の食卓の重要な部分を、北海道がまかなっています。それを、「アメリカの農業に変えましょう。なぜなら安いからです。」というのがTPPの論理です。

北海道は、1つの国と考えればGDPの規模では世界で40位くらいで、TPPに参加を表明しているマレーシアと同じくらいです。TPPは、日本とアメリカだけで経済規模の90%を占めます。つまり、沢山の国を入れているけれど、実際には日米の交渉がメインです。本来は日本とアメリカが1対1でやるべき事を、多国間でやるというカラクリになっています。そして日本とアメリカ以外の参加国は、皆が「日本に輸出したい国々」なんです。TPPに参加している国は、元はイギリスの植民地が多く、今はアメリカの経済支配下にある国です。ですから交渉では、アメリカが有利になります。

今の日本の国政は、都市に住む人々が豊かになる政策を採っています。小泉政権以降は、その方向です。TPPに参加すれば、都市に住む人は一時的には良くなります。北海道などの高い農産物ではなく、アメリカなどの安い農産物が買えるようになるからです。でも実際には、都市生活者も長期的には不利になります。なぜならTPPの本命は、日本の1500兆円の金融資産の外資化や、医療や公共サービスの民営化・外資化だからです。

アメリカでは、医療は民間が行っています。アメリカでは市町村に病院があっても、市町村が関わっているのは建物だけであり、中に入っている医師は独立採算制です。デパートのパルコみたいなシステムなんです。そして保険システムも、民間のシステムになっています。TPPは、そのビジネス手法を日本に導入しようとしています。アメリカでは、保険が高いので入れない人が、人口の15%(5000万人)も居ます。医療を受けられない人が15%もいるのが、アメリカの新自由主義の実体です。行政サービス(公共サービス)についても話しましょう。水道の民営化をした例は、アフリカですでにあります。民営化により、ヨーロッパの大企業が水道権を買ったのです。その大企業が何をしたかというと、水道料金を一気に値上げして、払えない人の水道を止めたのです。それにより、死者まで出ました。水道の民営化には、ものすごいリスクがあります。

日本でも多摩だったと思いますが、水道の民営化をやろうとした所があります。私は、メキシコの連邦警察をコーチングした事があります。メキシコは刑事警察と公安警察が分かれているのですが、その両方をコーチングしました。メキシコには何万もの警察組織があり、下部の組織は民営化されています。民営化で何が起きたかと言うと、警察官が手引きをした誘拐が頻発しています。これが示しているのは、『民営化してはいけないものが、世の中にはある』という事です。

日本で大震災があった時には、郵便局のネットワークがすごく役立ちました。このネットワークは、明治時代から築き上げられてきたものです。民営化は、こうしたネットワークも破壊します。どんな経済理論を読んでも、デフレ不況中に増税する事は、あり得ないです。経済オンチと言われる野田政権でも、そこまで無知なはずはない。おそらく、確信犯で消費増税をしようとしています。もしくは、消費増税をやる約束をさせられている。消費増税については、民主党と自民党が、なぜか合意しています。このウラには、新自由主義と多国籍企業がいます。ほとんどの病院は、経営はぎりぎりでやっています。消費税が上がったら、多くの病院がつぶれる可能性があります。それを、多国籍企業は狙っているのではないか。

私はコーチング業を通して、アメリカで2位~3位の医療法人のCEOと親しくしていますが、その法人は70~80の病院を経営しています。こうした法人の傘下に日本の病院が入るのをうながすのが、消費増税とTPPなのではないでしょうか。日本の銀行は、バブル崩壊後に外資に安く買い叩かれました。TPPでは、日本の産業のすべてが狙われている。

アメリカのウォールマートの経営手法は、新たな町に店を作ると、まず徹底的な安売りをして、その町の商店を全て潰します。ライバルを潰したら、後は好きな値段に設定できます。同じ様に、日本の病院をすべて傘下に入れたら、後は好きな医療価格にできる。

アメリカのオバマ政権は、国内では減税政策を採っています。それなのに、日本には「増税をしろ」と言っている。それは、TPPと消費増税を1セットにして見れば、理解できます。アメリカは、第二次世界大戦後のブレトンウッズ体制により、ドルを基軸通貨にしました。そして1ドル360円など、ドル高の政策を採りました。ドルが基軸通貨なので、各国はドルを欲しがります。その結果、アメリカは働かなくてもドルを刷るだけで、外国から物を買えました。『日本を含む世界の国々が工場になり、アメリカはドルを刷るだけでそれを買う』これがパックス・アメリカーナの時代でした。

今のアメリカは、もう一度、農業と製造業(第1次産業と第2次産業)を強くしようとしています。そのためのマーケットが、日本なのです。アメリカは、ドル安にする事で輸出を伸ばそうとしています。ドル安とTPPと消費増税(日本の中小企業の痛めつけ)は、1セットのものです。これを理解して下さい。TPPはアメリカの切り札ですが、逆に言うと「日本にとって致命的なもの」なのです。

2016-06-27_211310

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